こんにちは、ゆきです。
以前の私は、自分の仕事が無事に終わることだけを考えていました。真面目に目の前のタスクをこなしていれば問題ないと思っていたのです。しかし、その結果、何度も仕事全体を止めてしまうボトルネックを私自身で生み出してしまいました。
私のタスクが完了したはずなのに、いざ次の工程に進もうとしたら、他の人と同じ「共通の資源(道具や物資)」が必要で、それが手元になかったのです。発注したにもかかわらず、です。
突然の「ない!」という事態に、決まっていた終わりの期限を前に大慌て。段取りを組み直し、上司に事情を説明し、最短納品を手配し、「最大どこまでなら大丈夫か」と期限の交渉に追われる。この出来事が何度か起こり、「これは私だけの問題ではない」と気づかされたのです。
「自分の仕事が終わる=終わり」という狭い視点から、「他の人と共通する物や道具も把握し、管理する」という、職場全体の効率を考える「全体把握力」へと私の意識が変わりました。今回は、この経験から私が習得した、仕事のボトルネックを事前に潰す具体的な方法を3ステップでお伝えします。

1.なぜ「全体把握力」がボトルネックを解消するのか?
ボトルネックは「共通資源の枯渇」と「他者への依存」
ボトルネックとは、多くの場合、あなたの仕事が終わった後で発生する「共通資源の枯渇」や「他者への依存」です。
かつての私は、共通の道具については大まかな決まり事があるから大丈夫だろう、と他人事にしていました。しかし、「自分の仕事が終わる=終わり」という考え方では、必ずどこかであなた自身が困るという現実に直面します。
「自分たちが働きやすくなるための資産」と捉える
この問題は、誰も見ていないなら、あなたが率先して全体のルールを作ろうと発想を転換することで解決できます。
職場の道具やルールを「自分たちがもっと働きやすくなるための資産」と捉え、全体で把握・管理する仕組みを実行することで、私だけでなく職場全体の無駄な待ち時間が劇的に減っていきました。この意識改革こそが、全体把握力の第一歩です。
2.誰でも実践できる「全体把握力」を鍛える3ステップ
「全体把握力」は、特殊なスキルではなく、手順通りに行動すれば誰でも身につく行動の習慣です。

ステップ1:タスクを「分解」し、「依存関係」を可視化する
私が最初に行ったのは、「自分のタスクと、そのタスクが依存している資源の洗い出し」です。「自分だけでなく、他の人と共通する物や道具も把握する」という意識を持って取り組みました。
依存する資源の洗い出しと在庫の特定
- タスクの分解と共通資源の特定: あなたに渡されるタスクの指示書を確認し、そのタスクを完了するために「共通で必要になる道具や物資」がないかを徹底的に調べます。
- 在庫と期限の「可視化」:
- 物資の場合: 在庫量を正確に調べ、在庫がないものは、他の人が発注していないかを確認し、重複発注による無駄を避けましょう。
- 道具の場合: あなただけでなく、他の人がいつまでにその道具を使う必要があるかという「使用期限(予約状況)」を調べます。
限られた資源の「事前調整」
限りのある道具や共通資源については、「話し合い」によって先に使用する人と、あとに使用する人を決めました。この「事前調整」こそが、後に発生する「ない!」「使えない!」というパニックを未然に防ぎます。
このように、あなたのタスクの横に「資源の在庫と、他の人の使用期限」という依存関係を可視化することで、仕事全体の流れが初めてクリアに見えるようになりました。
ステップ2:「線の集中点」に「事前準備」を施す
ボトルネックを可視化したら、次に必要なのは「無駄を出しすぎずに、余裕を作る」という事前準備です。
リスクを減らす段階的な在庫提案
当時の職場は「無駄な在庫の排除」という厳しい方針でした。そこで、私は「常に必要になると感じる資源」について、最初から大きな提案をするのではなく、「最低でもこの量があれば、期日内にタスクを終えられる」という、具体的な根拠に基づいた最低限の在庫の確保を提案しました。
これは、「在庫リスクと納期遅延リスクのバランスをとる」という提案として、上層部の理解を得ることができました。
「劣化しやすい資源」の同時処理という先回り
開封後に劣化しやすい資源については、特に無駄のないように管理する必要がありました。私は、それが必要なタスクが来た時点で、最小限の在庫で最大限使用しきることを最優先に考え、意図的に複数のタスクを同時に処理するよう段取りを組みました。そして、在庫が枯渇しないよう、使用と並行して最低量の発注も開始しました。
これは、「無駄のない心がけ」と「在庫確保」を両立させるという、全体把握力がなければできない緻密な先回り行動です。
ステップ3:全体像を「予測」し、「アンテナ」を張る習慣
この一連の経験から、私の仕事に対する姿勢は根本的に変わりました。それは、「常に在庫管理と期限、そして他の人の動きに目を配る」という新しい習慣です。
予測に基づく先回り行動で余裕を生む
あなたのタスクリストをチェックする際、必ず「他の人が共通資源をいつ必要としそうか」を予測するようになりました。その結果、あなたの仕事の期限よりもかなり前に自分のタスクを終えられるようになり、突発的な事態にも落ち着いて対応できる余裕が生まれます。
同僚が発注を忘れていたであろうタイミングを予測し、事前に発注や準備を済ませておくといった先回り行動もあなたはできるようになるでしょう。
「予測と余裕」が新たな役割を生む
あなたの仕事が期限前に終わるようになったことで、他の新しい仕事や、以前は手が回らなかった業務改善に取り組むことができるようになります。これにより、あなた自身が「期限の短いものを相談される役割」の人になり、自然と在庫管理やスケジュール管理の一部を任されるようになるのです。
3.全体把握力がもたらすキャリアのメリット
全体把握力は、単にあなたの仕事が速くなるだけでなく、あなたの職場での立ち位置そのものを変えます。

1.同僚からの「信頼」獲得
あなたが能動的に在庫やスケジュールを管理し、他者の失敗を事前にフォローするようになった結果、同僚たちから「色々と管理しているものの相談」をされるようになります。これは、あなたが「職場の問題を解決してくれる頼れる存在」として認識された証拠です。
2.上層部からの「評価」向上
あなたの役割を超えて「チーム全体の効率」を考え、実際に無駄を減らして業務を円滑にしたという実績は、上司にも必ず伝わります。これは、「全体を見て動ける、次に任せたい人材」としての高い評価に直結します。
こちらの【仕事の質と成長を加速させる時間・思考の投資戦略】の記事でも解説したように、思考に投資することで得られる成果は、やがてあなたのキャリア全体に返ってきます。
まとめ
「全体把握力」は、特殊な能力ではありません。目の前のタスクだけでなく、「そのタスクの前後」にある資源や人の動きに意識を向けるという行動の習慣です。
かつての私のように「仕事が終わらない焦り」に悩んでいるなら、ぜひ今日お伝えした3ステップを試してみてください。仕事のボトルネックを潰すことで、あなたのキャリアの可能性も大きく広がります。
【次のステップへ】「全体把握力」をさらに加速させるツール
1.タスクの依存関係を「可視化」するツール
- プロジェクト管理・タスク管理ツール(例:Trello、Asana)
- メリット: ステップ1で洗い出した「共通資源」や「他者の使用期限」を明確に共有し、全員がリアルタイムで確認できるようにするのに最適です。メールや口頭での確認の手間を減らせます。
2.論理的な「在庫提案」の説得力を高めるスキル
- ビジネス資料作成・ロジカルシンキングのオンライン講座
- メリット: ステップ2で上層部を納得させたような、データに基づいた「提案力」を強化できます。「なぜこの在庫が必要か」を論理的に説明できるスキルは、昇進・昇給に直結します。


コメント